2015年04月17日

Enjoy Simplicity - Elementary OS(Freya)のシンプルな心地よさ

今ではサブ PC となった XPS 13 Ultrabook(2012年モデル + Ubuntu 12.04 LTS カスタム)の OS をアップグレードしようかな。 そう思い立ち、これまで使ったことが無く・しかも余計なパッケージがインストールされないシンプルなディストロという条件でパートーナー探しを始めたんです。 まず一番最初に思い浮かんだのは Arch Linux。 Arch Linux は大変素晴らしいディストリビューションです。 ただ運用するにあたっては OS とそのパッケージ管理が目的の一つになりかねない(俺の目的が崖下にローリングしていくわっ!!)ところを考えると今回は止めることにしました。 その後も Manjaro(Enjoy Simplicity は Manjaro のキャッチコピーなのですが、僕は Elementary OS がそれだと思います)、KaOS(Arch Linux + KDE のクールなヤツ)、Ozon OS(Fedora ベースの楽しそうなヤツ)あたりをブラブラしていたんですが結局ダメ・・・でも、理想のパートナーは思いのほか近くにいました。 そう、それが 2015年 4月 11日に安定版がリリースされたばかりの Elementary OS Freya だったのです(また Debian 系ってのは少し退屈ですが)。

Elementary OS

Elementary OS の概要とインストール


Elementary OS のキャッチコピーは「A fast and open replacement for Windows and OS X」。 (僕はそれほどだとは思いませんが)OS X のようなデザイン性と軽量さを特長としたディストリビューションで、Pantheon と呼ばれるスクラッチで開発された独自のデスクトップ・シェル(環境)を採用しています。

さあ、https://elementary.io/ から ISO ファイルをダウンロードしてインストールを始めましょう($ Custom > $ 0 で無料)。

インストーラーは日本語で進めてオーケー。

elementary os installer 01


ディスク・スペースは最低 6.5 GB 必要。

elementary os installer 02


ローケール、キーボードに日本語環境を選択し、ユーザーを作成すればインストールが始まります。

elementary os installer 03


余計なパッケージが含まれないので掛かる時間も少なく、少し待てば再起動を促され LightDM ディスプレイ・マネージャー(ログイン画面)が表示されるはずです。

elementary os installer 04


ログインして、デスクトップ上にあるアプリケーション・メニューを開いてみて下さい。

elementary os desktop 01


最低限必要になるブラウザ(Midori)、画像やPDFビューワー、音楽・動画プレーヤーなどたった20個ほどの小さなアプリケーションしかメニューに存在しないはずです(Simplicity !)。


Elementary OS の最適化・日本語環境設定


メニューからターミナルを起動し、(僕ならば)次のコマンドを実行します。

$ LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update


これでホーム・ディレクトリ以下にあるフォルダ名が英語になります。 もし、貴方が SSH などを使って Freya をリモートから操作するのであれば日本語では無く、英語名になっている方が入力が楽になるでしょう。

elementary os desktop 02


さて、まずはシステムを更新しましょう。

$ sudo apt-get udpate
$ sudo apt-get dist-upgrade


続いて日本語とその入力環境を整えます。 次の手順で Japanenese Team の作成したリポジトリを登録して、

$ wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
$ wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
$ sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/utopic.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade # upgrade 'unzip' package.


日本語パッケージをインストール。

# $ sudo apt-get install ubuntu-defaults-ja でも良し(但し、Libre Office を含む)。
$ sudo apt-get install fcitx-mozc mozc-utils-gui im-setup-helper \
       fcitx-libs-qt5 fcitx-frontend-qt5 fonts-opensymbol fonts-takao-gothic \
       fonts-takao-mincho language-pack-gnome-ja language-pack-gnome-ja-base \
       language-pack-ja language-pack-ja-base


fcitx(インプット・メソッド)、mozc(日本語エンジン)のセットアップは fcitx-setup-helper を使うのが簡単です。

$ fcitx-setup-helper


実行後、一度ログアウトすると mozc を利用した日本語入力が出来るようになります(Ctrl + Space キーがデフォルトの入力切り替え。 入力メソッドの設定はデスクトップ右上のトレイにあるキーボード・アイコンから)。

fcitx-mozc japanese input method


最後に System settings > Languages & Region と進み、追加の言語パッケージをインストールして下さい。

elementary os language setting


Elementary OS のカスタマイズとチューニング


Elementary OS はシンプルであるが故に標準メニュー上から多くの設定はできないようになっています。 ちょっとしたカスタマイズをするのであれば次の手順で elementary-tweaks をインストールしましょう。

$ sudo add-apt-repository ppa:mpstark/elementary-tweaks-daily
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install elementary-tweaks


また、Tweaks 設定を行う前に、僕は Numix チームの配布しているフラット、マテリアル風なアイコン・テーマもインストールしておきます(そういえば、Numix も独自のディストロを出すぜ!というアナウンスが先日ありましたネ)。

$ sudo add-apt-repository ppa:numix/ppa
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install numix-icon-theme-circle


System settings を開き Tweaks を起動したら、僕は General > Appearance で Icon Theme: を Numix-Circle、Windows Controls: を Minimize Right(ウインドウ右端に最小化ボタンを設置)にします。

tweaks appearance settings


次に Applications > Plank で Hide Mode: を Auto hide、Theme: を Transparent(透過)に変更。

tweaks plank settigs


カスタマイズもこれぐらいで充分。 なんたって今回のテーマはシンプルですから。

tweaked  Elementary OS Freya desktop


後もう少し。 ここからは主に DELL XPS 13 を前提としたチューニングをしていきますよ。

XPS 13 のタッチパッドは縦(y-axis)、横(x-axis)が以下のレンジで認識されているのですが、タッチパッドの右端が手のひらに触れると意図しない動作になるので少し右端を狭めます。

$ grep axis /var/log/Xorg.0.log
[     4.712] (--) synaptics: CyPS/2 Cypress Trackpad: x-axis range 0 - 1100 (res 11)
[     4.712] (--) synaptics: CyPS/2 Cypress Trackpad: y-axis range 0 - 620 (res 10)


これは、次の手順で 50-synaptics.conf を作ってエディタで開き、

# 個別設定の保存ディレクトリを作成
$ sudo mkdir -m 755 /etc/X11/xorg.conf.d

# デフォルトの設定をコピー
$ sudo cp /usr/share/X11/xorg.conf.d/50-synaptics.conf /etc/X11/xorg.conf.d/
$ sudo chmod 644 /etc/X11/xorg.conf.d/50-synaptics.conf

# エディタで編集
$ sudo scratch-text-editor /etc/X11/xorg.conf.d/50-synaptics.conf


touchpad catchall を Identifier とする InputClass セクションを次のように変更します。

Section "InputClass"
        Identifier "touchpad catchall"
        Driver "synaptics"
        MatchIsTouchpad "on"
# This option is recommend on all Linux systems using evdev, but cannot be
# enabled by default. See the following link for details:
# http://who-t.blogspot.com/2010/11/how-to-ignore-configuration-errors.html
      MatchDevicePath "/dev/input/event*"

        # Natural scroll
        Option "VertScrollDelta"       "-15"
        Option "HorizScrollDelta"      "-15"
        Option "HorizTwoFingerScroll"  "1"

        # When finger pressure drops below this value, the  driver counts it as a release.
        Option "FingerLow"             "20"
        # When finger pressure goes above this value, the driver counts it as a touch.
        Option "FingerHigh"            "75"
        # When finger pressure goes above this value, the driver counts it as a press.
        Option "FingerPress"           "255"

        # Speed factor
        Option "MinSpeed"              "1.0"
        Option "MaxSpeed"              "1.3"
        # Acceleration factor for normal pointer movements.
        Option "AccelFactor"           "0.1"

        # The duration of the mouse click generated by tapping.
        # The  ClickTime parameter controls the delay between the button down and
        # button up X events generated in response to a tap event.   A  too  long
        # value  can  cause undesirable autorepeat in scroll bars and a too small
        # value means that visual feedback  from  the  gui  application  you  are
        # interacting  with is harder to see. For this parameter to have any
        # effect, "FastTaps" has to be disabled.
        Option "ClickTime" "50"

        # Touchpad area definitions
        Option "AreaTopEdge"           "62" # xps13 y-axis start with: 0
#        Option "AreaBottomEdge"        "620" # xps13 y-axis end with: 620
        Option "AreaLeftEdge"          "0" # xps13 x-axis start with: 0
        Option "AreaRightEdge"         "850" # xps13 x-axis end with: 1100

        # Switch on/off shared  memory for run-time configuration.
        Option "SHMConfig"             "on"
EndSection


一度ログアウトすると設定が反映されますよ。 また、タッチパッド設定の詳しい説明はこちら(「MacBook Pro Retina モデルで Ubuntu(MATE)を楽しむ方法」)をどうぞ。

最後に、XPS 13 の a キー横にある Caps Lock キーは Ctrl 扱いにしたいので System settings > Keyboard と進み、Options にある Ctrl key position 設定でこの2つの swap(入れ替え)を有効にします。

swap ctrl and caps_lock key


さあ後は、貴方にとって本当に必要なパッケージをだけをインストールして Elementary OS をシンプルに楽しんで下さい。

僕の XPS 13 もカンペキ(少なくとも今のところは)。

Elementary OS Freya my desktop

それでは、また今度。

 
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Posted by netbuffalo at 22:00│Comments(12)TrackBack(0) Linux | ユーティリティ


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この記事へのコメント
elementary OS 0.3.1 の日本語化を参考にささてもらってコマンドのコピペをしましたが、
「以下のパッケージには満たせない依存関係があります:
language-pack-gnome-ja : 依存: language-pack-gnome-ja-base (>= 1:14.04+20150804) しかし、1:14.04+20140410 はインストールされようとしています
language-pack-ja : 依存: language-pack-ja-base (>= 1:14.04+20150804) しかし、1:14.04+20140410 はインストールされようとしています
E: 問題を解決することができません。壊れた変更禁止パッケージがあります。」と出ます。
解決策はあるのでしょうか。
是非ご教授ください。
よろしくおねがいします。
Posted by Pinguino at 2015年10月21日 18:09
Pinguino さん、ご相談ありがとうございます。
週末ですと僕自身試すことができるのですが、今すぐはできず、想像でお答えします。
以下のコマンドを実行後に、再度インストールするとエラーは解消されないでしょうか?

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade -y

これでシステムにインストール済みのパッケージが最新になるはずですので、このあともう一度試してみて下さい。
Posted by netbuffalo at 2015年10月22日 10:18
返事有難うございます。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade -y

の後に

$ wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
$ wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
$ sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/utopic.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list

$ sudo apt-get update

$ sudo apt-get install fcitx-mozc mozc-utils-gui im-setup-helper fcitx-libs-qt5 fcitx-frontend-qt5 fonts-opensymbol fonts-takao-gothic fonts-takao-mincho language-pack-gnome-ja language-pack-gnome-ja-base language-pack-ja language-pack-ja-base

のコマンドを実行したら、以下のエラーがでます。

「以下のパッケージには満たせない依存関係があります:
language-pack-gnome-ja : 依存: language-pack-gnome-ja-base (>= 1:14.04+20150804) しかし、1:14.04+20140410 はインストールされようとしています
language-pack-ja : 依存: language-pack-ja-base (>= 1:14.04+20150804) しかし、1:14.04+20140410 はインストールされようとしています
E: 問題を解決することができません。壊れた変更禁止パッケージがあります。」

synapticで「language-pack-ja-baseとlanguage-pack-gnome-ja」のバージョンが14.04+20140410で「language-pack-jaとlanguage-pack-gnome-ja」は14.04+20150804になっているので、バージョン違いが原因じゃないかと思ってlanguage-pack-ja-baseとlanguage-pack-gnome-ja(それぞれ14.04+20150804と14.04+20140410)のdebパッケージを個別にダウンロードしてインストールを試みたところ、破損パッケージになりインストールできませんでした。

ちなみに「elementary OS 0.3.1」での新規インストール後、上記のコマンドを実行しました。

よろしくお願いします。
Posted by Pinguino at 2015年10月22日 11:18
Pinguino さん、手間をお掛けししまい大変すみませんでした(^^;
腰を据えて確認してみます。少々お時間を下さい。
Posted by netbuffalo at 2015年10月22日 20:44
いえいえ、こちらこそ大切な時間を私などのために割いてくれてありがたいです。
よろしくお願いします。
Posted by Pinguino at 2015年10月22日 20:57
Pinguino さん、

どうも最新の日本語パッケージには不具合があるようです。
-> https://bugs.launchpad.net/ubuntu-jp-improvement/+bug/1508796

言語パックだけを1つ前のバージョン(14.04+20140410)にすればインストールできると思います(僕の Elementary OS も言語パックは今もこのバージョンで動いています)。

1)言語パックのバージョンを固定してインストール
$ sudo apt-get install language-pack-gnome-ja=1:14.04+20140410 language-pack-ja=1:14.04+20140410 language-pack-ja-base=1:14.04+20140410 language-pack-gnome-ja-base=1:14.04+20140410

2)その他のパッケージをインストール
$ sudo apt-get install fcitx-mozc mozc-utils-gui im-setup-helper fcitx-libs-qt5 fcitx-frontend-qt5 fonts-opensymbol fonts-takao-gothic fonts-takao-mincho
Posted by netbuffalo at 2015年10月24日 11:52
日本語パッケージの不具合だったんですね。
ご教授頂きありがとうございます。

もう一つ質問なんですが、
将来不具合が治った場合、日本語パッケージの通常アップデートは可能なんでしょうか?
(1:14.04+20140410)から(1:14.04+20150804)
それとも1:14.04+20140410に固定されるのでしょうか?

よろしくお願いします。
Posted by Pinguino at 2015年10月27日 07:06
Pinguino さん、はい、将来不具合が解消されれば、ソフトウェア・アップデートで自動更新されると思います。
Posted by netbuffalo at 2015年10月27日 09:37
前回の日本語パッケージ不具合ではお世話になりました。

今回の質問なんですが、アプリケーションメニューで特定のアプリが表示されません。これもまた不具合なんでしょうか?

例:アーカイブマネージャ、追加のドライバーなど

表示させる方法がありましたらご教授ください。
よろしくお願いします。
Posted by Pinguino at 2015年11月24日 16:40
Pinguinoさん、これは不具合とも言えないのかもしれません。理由は Elementary OS(Pantheon デスクトップ)はシンプルをデザイン・ポリシーの1つにしているからです 。
さて、ご指摘の追加ドライバーですが、アプリケーション・メニューの検索欄に software と入力すると見つかるはずです(https://flic.kr/p/AwDjzy)。
アーカイブ・マネージャであれば file-roller と入力すると見つかります。
それでは、また今度。
Posted by netbuffalo at 2015年11月25日 12:53
紹介記事を読み、charetOS、voyagerに続いてelementaryOSも入れました。私は日本語パッケージは適用せずmozcだけ入れています。ブラウザやメール、libreofficeなど、それで十分に使いやすいですし、外見も、画面トップのパネルが英語表示のままなので、かえって違和感がありません。アイコンテーマはEleMint。plankのほかにconkyも自動起動させています。お気に入りです。有難うございます。
Posted by bayou at 2016年06月05日 19:59
bayouさん、ご連絡ありがとうございます。
僕もElementaryOSを普段使いしています。
(メールにて)スクリーンショットもありがとうございました。
bayouさんのデスクトップはとてもクール、美的ですねぇ!
今後共よろしくお願い致します。
Posted by netbuffalo at 2016年06月06日 13:24

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